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   第117回『まちむら興し塾』 2015年3月30日

   
   ≪ 記憶に残る仕事 ≫ 松井一郎47年の歩み  
   
   コメンテーター JTB総合研究所客員研究員 松井一郎 さん


  松井一郎さんが歩んでこられた、47年間を振り返って、携わっ
 てこられたお仕事の概要とそれぞれの各事業への情熱と、思い入れ
 が深いお話しでした。

  わずか1時間30分ではとても語りきれる人生の軌跡ではありま
 せんが、さらりと普段と同じ語りかける口調でのお話しの節目、節
 目には、聞く人たちの心にずっしりと浸み渡り、とても興味深いも
 のとなりました

  1 調査研究事業で記憶に残る仕事とは         
 
  (1)調査研究事業の特性                            

1)提案が実施されるまでの期間か長い(実施されないこともしばしばある)

2)提案が総花的になりがちである(委員会の設置、行政の特性)

3)実行段階に関与することが少ない/できない

   ⇒欲求不満に陥りやすい

   (2)記憶に残る仕事

1)課題が絞り込めている(絞り込んだ提案ができる⇒実施される可能性が高くなる)

2)提案の実施結果が目に見える形で現れる

3)実施段階に関与できる
 

 2 職務歴 
 
  1966-75
   JTB 営業(東銀座支店、海外旅行本社内支店、海外旅行銀座
   支店)

  1976-81
   (財)日本交通公社 (調査部研究員=旅行動向、旅行業など)

  1982-84 
   (株)オリエンタルランド〔=東京ディズニーランド〕に出向

       (営業部次長:マーケティング企画担当)

  1985-86
   (株)日本交通公社(市場開発室主査:マーケティング担当)

  1987-93
   (財)日本交通公社(調査部主任研究員旅行調査室長
      :旅行動向。旅行業、観光関連産業、観光客誘致策など)

  1994-01
   (株)ジェイ・アイ・シー(観光・レジャー研究室長)

  2001-12 
   (株)ツーリズム・マーケティング研究所(主席研究員)
      資本金2億円

  2012-14  
    上記社名変更(株)JTB総合研究所 (主席研究員)

 【専門分野】
 :観光地、観光・レジャー関連産業のマーケティング計画、経営改
  善計画

 :観光・レジャーを核とした地域振興策、地域活性化方策の計画

 :旅行市場・旅行動向分析及び消費行動としての観光・レジャー活
  動の分析

  このような経歴ですが、それぞれの職場に思い入れがあります。
 
  しかし、記憶に残る仕事と言えば、最も長く付き合った調査研究
  業務、コンサルティング業務です。


 3 具体的には
 
  (1)墨田区顧光プロモーション計画策定調査
     (東京23区でも観光振興を検討する)

     東京スカイツリーの誘致も決まっていなかった墨田区の
     観光振興計画策定。専門家を中心とした委員会を設置し、
     方向づけが散漫になることを抑える。

調査完了後、提唱した推進組織を任せられる人材を選定し、観光協会の事務局長に据える。

 (2)東京ディズニーランドのグランドオープニングプロジェクト

    東京ディズニーランドのオープン前年(1982年)から3
   年間、1千万人集客に向けたマーケティング活動の計画立案、
   活動の調整(部内、部外)に携わる。
 

 【主な業務内容】

1)年間の1日ごとの来場者数見込(パークオペレーティング
  カレンダー)の作成、

  ・入込予測作成 ⇒ スタッフ(キャスト)数確保のため

2)年間パーク内イベント計画の立案
  *特別イベント立案(クリスマス、ハロイン、イースター、
   市民デイ)

  ※ 当初、ハロインの実施に際して、アメリカ本社から、
    日本には馴染みが無
いもので費用対効果が期待できな
    いということで、反対されたということ
です。

    現在こそ、ディズニーランドだけに限らず、家庭も含
    めてて多くの施設
で当たり前の行事の一つになってい
    ますが、ディズニーランドから日本全
国に広めたのだ
    と、立案者は自負しているということです。

3) リピーター対策として会員制度の発足と会員募集なども
   業務であった。 

  《  会員制度 》

  a.エグゼクティブクラブ

 スポンサー獲得の手段の一つとして、スポンサーの
出資比率に応じて「エグゼクティブクラブチケット」
を発行。スポンサーが接待用プレゼントとして使う。

 何が、エグゼクティブかというと、一般の長い行列
に並ばなくてもゲストリレーションでチケットの交換
ができ、お客様の優越感をくすぐれる効果がある。

 園内での使い方は通常のパスポートと同じです

  b.クラブ33(サーティスリー)

クラブ33の名前は、アメリカのディズニーランドが
あるのがニューオーリンズ・スクエアでの番地が33
番地であったことから名付けられている。

主に公式スポンサーの法人会員、一分個人会員。今で
は広く知れ渡っていますが秘密の会員制クラブ。

 一般には非公開の会員専用
レストランの利用ができ
る。ここではTDLで唯一お酒が飲めたり、夜のパレ
ードを特等席から満喫できます。

(このレストランは会員の紹介があれば利用可能)

4)入園者増対策

  ① オープン当初予定の見込み入園者人数が届かず、手数
    料無しの方針をしぶしぶ5%に、また、支払う旅行会
    社を限定  

  1983年4月15日オープンから84年3月31日
   9663人/1日 1060万人/年間

  ⇒ 旅行代理店との契約 JTB,NTA,KNT,東急
    +JR東日本

    追加として、TDLへの融資の関係で、やむを得ず農
    協観光


  (3)船橋競馬経営改善方策立案調査   
     この調査は、公営競技の内側に入り込んだヒアリング調査
    観察調査が広範囲に及んだことで思い入れが深く印象深い。
    船橋競馬場の調教師会、騎手会、厩務員、従業員組合、馬主
    会などである。

     また、船橋競馬場内も隅々まで視察しだ来場者アンケー卜
    の結果も興味深いものがあった。

     南関4場といわれる他の3場の現状も視察、ヒアリング調査
    を行った。

  さらに、地方競馬、競輪、競艇、オートレースの主催協会
 にもヒアリング調査を実施し、経営環境、課題と解決方法を
 調査したほか、近辺の公営競技場も視察した。

  いずれにしても、集客事業の奥の深さを、あらためて感じ
 させられた調査プロジェクトである

 4 事業経歴 
 
   1)主なプロジェクト
      ○ 大型ビジョンの広報活用に関する調査
      (大田区/2009年)

○ 大田区観光振興プラン策定調査(大田区/2008年)

○ 船橋競馬の経営改善方策立案
  (千葉県船橋競馬組合/2007年)

○ スポーツ合宿マーケットに関する調査
  (地域シンクタンク/2007年)

○ 丹後半島におけるローカルエリアプロモーション活動の
  ビジネス化 (京丹後市丹後町商工会/2006年)

O 「皆既日蝕2009トカラ」への来訪客数予測および地
  域の対応方策
  (地域シンクタンク/2006年)

○ 練馬区における地域特性を活かした具体的な観光事業計
  画の策定調査
  (練馬区/2005年)
  =練馬区が実施すべき観光振興事業計画の策定。

○ 墨田区における観光イメージアップを目的とした既存の
  観光資源の活用と新
たな観光資源の開発プラン策定

  (墨田区/2004年)
  =区内各地区の特性を活かした都市型観光商品の開
発計
   画およびプロモーション活動計画の策定。      

O 愛知県稲武町における地域の持続的な発展のためのマー
  ケティング調査および山里体験プログラムの開発

  (電源地域振興センター/2004年)
   =山里体験プログラムの実施人材の
発掘および自立に
    向けたプログラムの高度化指導。

○ 地域観光魅力創出事業の推進に向けた調査
  (神奈川県/2003~05年)
   =丹沢大山地域、三浦半島地域、足柄上地
域など各広
    域圏の連携による新たな観光魅力の創出および観光
    商品化の推
進に向けた方策の策定。

○ 2005年日本国際博覧会入場券販売計画策定調査
  (国際博覧会事務局/2003年)
   =万博の入場券、特に前売り券の販売計画の策定。
    広告活動、広報活動の
あり方およびタイミング、販
    売チャネルの活用方策、直接販売の対象選定と活動
    時期などをまとめる

   ・愛知万博2年前から前売りを企画 
    ⇒ 15%引き事前販売 ⇒ コンビニ、バス会社  

 2)地域アドバイザー

○ 2009年:養父市、豊田市(松平地区、神越地区、小
  渡温泉)、石巻市

○ 2008年:庸津市、阿南町(長野県)、豊田市(笹戸
  温泉、三河湖)

○ 2007年:苓北町(熊本県)、京丹波町(京都府)、
  横須賀三浦広域圏(神奈川県)

○ 2006年:足寄町(北海道)、津久井町(神奈川県;
  現・相模原市)

   3)執筆・出演・講演等

○ 2007年「地域機微と観光ビジネス」
  (共著)JTB能力開発 

O 2006年「観光実務ハンドブック」(共著) 
  日本観光協会 

○ 2005年10月 
  
サハリン観光関係者対象 観光マーケティングセミナー 

○ 2004年11月
  
モンゴルの観光関係者対象の講師を務める

  くモンゴル海外研修~魅力的な観光プロモーション 

 5 記憶に残る・振り返っての総論

  1)調査研究

    ・結果がでるまで時間がかかる 

    ・調査と結果が結びつかない

    ・実験的でも実施する必要がある

    例:琵琶湖の疎水は琵琶湖から京都市まで水道水として建設。
      琵琶湖から京都までの観光船運航計画を検討中

    ・各団体・組織からそれぞれの主張が出て、的が絞れない、
     まとまらない

     ⇒ 観光プランなどは総花的になりやすい

  2)旅行代理店

   ・観光結びつくまでに、5年~10年かかる 

  3)記憶に残る

   ・最大の課題は問題点の絞り込みにある。

   ・提案結果が具体化は不可欠

  
  多くの観光推進・地域振興の関係者の方々の指針となられたことと
  確信します。

  ありがとうございました。

 第117回 『まちむら興し塾』 風景
 
参加者全員でいつもの記念撮影
 
講演中  
 
 
  
本日のコメンテーター 松井さん 貴重な体験談でした 
   
 樋口さん  石井さん
   
 飯田さん  岡野さん
   
 4年 原屋君  4年 根岸君 宮林さん
 二次会 白山駅前 串猿
 
 4年生3人といつもの岡野さん、松井さん、長坂
  
就活開始 4年3人組 宮林さん、原屋君、根岸君 
 
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